不整脈(ふせいみゃく)

心臓は全身に血液を送るポンプのようなはたらきをしていますが、ポンプを動かしているのは心臓の電気的興奮です。この電気的興奮のリズムが異常になり脈が正しくうたれない状態が不整脈です。不整脈は、①脈が途切れたり不規則になったりする期外収縮、②脈が速くなる頻脈、③脈が遅くなる徐脈の3つに分けられます。

また、治療の必要のない不整脈から突然死を起こす危険な不整脈(心室細動、心室頻拍、心停止)までさまざまあります。心室細動は心室全体が不規則に震えて血液を全身に送り出せなくなる状態で、心室頻拍は心室が早いリズムで収縮を繰り返して血液を十分に送り出せなくなり血圧が著しく低下する状態です。いずれも死に至る危険な状態です。

また60歳以上の5%以上の方が罹患する心房細動は心房が不規則に震え、心室の収縮も不規則となり動悸などの自覚症状を伴うほか、心房内に血栓ができやすく脳梗塞のリスクとなることから重要な不整脈です。

不整脈の検査には、心電図検査(12誘導、ホルター心電図)、心臓超音波検査(心エコー)、運動負荷検査(トレッドミルテストなど)などがあります。 治療は症状に応じて異なりますが、自覚症状を伴うかどうか、生命予後・血行動態に関連するかどうかがポイントとなります。一般的には薬物治療と心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD:implantable cardioverter defibrillator)、カテーテルアブレーション(経皮的カテーテル心筋焼灼術)などの非薬物治療がおこなわれます。先述の心房細動では血栓予防のため、その発症リスクと出血リスクとを秤量して抗凝固薬の投与が考慮されます。