過去の質問と回答
女性 60代
Q. 健康診断の結果に「腹部大動脈:石灰化多数」とありました。腹部大動脈の石灰化の要因は何ですか? LDL値は165でした。石灰化を増やさないためにも、コレステロール値を下げる薬の服用は必要でしょうか?
A. 大動脈の石灰化が問題となっているとのことですが、一般的には石灰化に強くかかわるのは高血圧や糖尿病です。それらに異常がないとなると、コレステロールが関与しているのかもしれません。一般的には、大動脈の石灰化にはLDLはあまり関係ないと考えられますが、頸動脈エコーでプラークが認められたら、治療に踏み切るべきだと思います。大動脈の石灰化は脳梗塞や心筋梗塞の危険因子の一つですので、一度、頸動脈エコー検査を受け、プラークがあるかどうか、ある場合はLDLを薬で下げるべきかなど、詳しい診断をしていただくのがよろしいのではないでしょうか。。
女性 50代
Q. 会社の健康診断で胸部レントゲン写真を見た医師に動脈硬化が気になると言われました。胸部レントゲン写真から動脈硬化がわかるのですか?
A. 動脈硬化によって硬くなった血管が石灰化を起こした部分は、胸部レントゲンにも写るため、そのように指摘されたのではないかと思います。胸部レントゲン以外では、「頸動脈エコー検査」で動脈硬化の程度が分かりますので、一度、頸動脈エコー検査を受けてみてはいかがでしょうか。動脈硬化は、LDL(悪玉)コレステロールが高いだけでなく、HDL(善玉)コレステロールが低くても進みますし、そのほかにもさまざまな要因が関係していることがあります。女性では50歳を過ぎると女性ホルモンの関係上、血圧やコレステロールも自然に上がってきますので、いまのうちに、動脈硬化を進めている原因は何か、きちんと調べてもらうとよいでしょう。法や薬物療法はあまり有効ではありません。
男性 50代
Q. 健康診断でnon-HDLコレステロール値が200を超えていました。そもそもnon-HDLコレステロール値とは何を表しているのですか。どう対応したらいいでしょうか?
A. non-HDLコレステロールの値は、悪玉といわれるLDLコレステロールとその他の悪玉コレステロール(レムナント、小型LDLなど)の総和ですので、動脈硬化を誘発する可能性のあるコレステロールをすべて表していると考えていいと思います。non-HDLコレステロールは170mg/dL以上を異常値としています。non-HDLコレステロールが高い場合は、LDLコレステロールが高い場合とHDLコレステロールが低い場合が考えられます。前者については、食事療法が有効です。動物性の脂を控えることと、コレステロールが多い食品(卵黄など)を控えることです。このようにして1カ月して採血し、それでも高い場合は薬物療法が必要かもしれません。主治医にご相談ください。また、HDLコレステロールが低い場合は運動療法が必要で、食事療法や薬物療法はあまり有効ではありません。
女性 50代
Q. 頸動脈エコー検査で、プラークが見つかりました。昨年まで毎年、検査では所見なしでしたが、プラークは1年で急に大きくなるのでしょうか?また、すぐに治療が必要でしょうか?
A. 頸動脈エコー検査では、1.1mm以上がプラークと診断されます。したがって、昨年までは、1.1㎜未満で指摘されなかった可能性もありますし、1年で急に大きくなったことも考えられます。女性の場合、プラークが認められないとコレステロールの治療は見合わせることもありますが、メタボリックシンドロームやLDLコレステロールが高い場合は、厳格な治療を受けていただくことをおすすめします。
男性 40代
Q. 会社の健康イベントで、血管年齢を測定したのですが、実年齢より30歳も上という、とても高い数値が出ました。何が原因でしょうか?また、詳しく調べてもらうには、何科を受診するのがよいでしょうか?
A. 血管年齢は、脈波伝播速度(PWV)か心臓足首血管指数(CAVI)という検査で測られたのではないかと思います。動脈硬化が起こり、進んでいくと、血管のしなやかさが失われ、硬くなっていきます。PWVやCAVIは、脈波の伝わり方によって動脈硬化の程度を数値化することができ、この値をもとに血管年齢が推計されます。 実際の年齢より高い血管年齢が出て、びっくりされる方がよくいらっしゃいますが、血管年齢を押し上げる要因として、高血圧や喫煙といった動脈硬化を進める危険因子が関与していることが多く、その治療が必要であるとされています。 とくに、血圧に関しては「仮面高血圧」といって、昼間は高くはないのですが、起床時に高血圧を示す方がいらっしゃいますので、一度、家庭血圧を測定してみてください。 治療法や治療期間に関しては、原因にもよって異なりますので、まずは、循環器内科を受診されてみるのがよろしいと思います。
女性 30代
Q. 主人は仕事が忙しく、睡眠時間も少なくて、いびきをかきやすいので心配です。
A. いびきをかきやすいという点が気になります。睡眠時無呼吸を認めることはないでしょうか。睡眠時無呼吸症候群は、単に呼吸が止まるだけの病気ではなく、心臓や脳、血管に大きな負担がかかり、高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などの病気を起こす危険が高まることがわかっています。
家族の方から見て、睡眠時の呼吸が自然でなければ(数秒間止まるなど)、一度検査を受けることをおすすめします。睡眠時無呼吸かどうかを調べる専門的な検査がありますので、睡眠時無呼吸外来、または、主治医にご相談ください。
男性 40代
Q. 以前は、脂質異常症の診断基準に「総コレステロール」が入っていたと思うのですが、最近の基準にはありません。総コレステロールは気にしなくてもよいのでしょうか?
A. 現在、動脈硬化の診断や治療の際の指針として用いられている『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』では、動脈硬化のリスクを判断するうえで、LDLコレステロールをもっとも重要な指標とすることが推奨されています。総コレステロールは、LDLコレステロールやHDLコレステロールなど、すべてのコレステロール値を合算しているため、HDLコレステロールが高い場合など、リスクの判断が正しくできない可能性があるからです。もちろん、総コレステロール値がなくなったわけでなく、病院で行う血液検査などに、数値が記載される場合もあります。その場合は、LDLコレステロールやHDLコレステロール値を参考にしてください。
男性 40代
Q. 人間ドックに入ろうと思います。動脈硬化もわかりますか?
A. ドックを選ぶときに、ドックの検診内容のメニューをお確かめください。人間ドックはその目的によってさまざまに異なるメニューをもつことを特徴としているからです。
動脈硬化検査もまた、身体のどこの部位の動脈硬化を知りたいのか、ということによって、内容が異なります。脳動脈硬化や冠動脈硬化の程度を知るためには脳や心臓が検査の対象となります。一般的な動脈硬化の検査ということであれば、脈波伝播速度測定(PWV・CAVI)、血流依存性血管拡張反応検査(FMD)、頸動脈エコー検査の3種類があります。ドックを決めるときに、検診のメニューにこの3つのどれかが入っていればよろしいのではないか、と思います。
男性 50代
Q. 血管の老化度を知りたいのですが、どうすればわかりますか?
A. 血管の老化度というのは動脈の老化度、つまり動脈硬化の程度をいいます。動脈硬化は動脈の壁が硬くなった状態です。これを測定する方法には、1)脈波伝達速度検査(PWV;CAVI検査)、2)血流依存性血管拡張反応検査(FMD検査)、3)頸動脈超音波検査法(頸動脈エコー)などがあります。
1)脈波伝達速度検査
動脈の壁は心臓から血液が送り出されるたびに、いったん膨らんでは戻るという拍動をします。これが脈波です。脈波が動脈の壁を伝達していく速さを脈波伝達速度といいます。伝達速度には動脈の壁が硬くなるほど、つまり、動脈硬化の程度が強いほど、速くなるという性質があります。そこで、脈波の拍動にふれることができる動脈上の2点に検出器をおき、拍動がこの2点間を進む速さ(脈波伝達速度)を計測することで、動脈硬化度、ないしは動脈老化度といわれる指標を算出することができるわけです。伝達速度は加齢とともに速くなりますが、健康な若い人では1,400 cm/秒以下です。
2)血流依存性血管拡張反応検査
血管内皮機能検査ともいいます。超音波計で動脈径を計測した後、血圧を測定するときと同じようにマンシェット(空気帯)を腕に巻いて圧を加え、いったん血流を途絶えさせてから、血流を再開させ、動脈が自然に拡張できる限界を測定する方法です。健康な若い人では6 %以上です。
3)頸動脈超音波検査法
頸動脈に超音波探触子を当てて、頸動脈壁の肥厚の程度を直接に計測する方法です。健康な若い人では1.0 mm以下です。
女性 30代
Q. 自分が動脈硬化かどうか知りたい。血液検査でわかるのですか。
A. 動脈硬化とは血管の硬さと内腔の狭窄(きょうさくの程度で判定されるのですが、このために起こってきた脳や心臓、腎臓の血流障害の程度もまた、参考にします。血液検査だけでは動脈硬化の程度、そのものを知ることはできません。しかし、血液検査では動脈硬化の危険因子や、その結果、起こってきた臓器障害の程度を判定することができます。
体表面で触れることができる動脈には手首、頸部、腹部、大腿の付け根部分、こめかみ、足首などの動脈があります。そこで、まずは、これを直接に指で触れて硬さを評価します。検眼鏡による眼底動脈の観察も動脈硬化度を直接に観察しようとするものです。しかし、これらの場合の評価は主観的で、定量的ではなく、他の人と比較することは困難です。そこで、これらの部位で超音波エコー検査を行って血管壁を直接に観察することも行われています。
脈波伝達速度の計測、あるいはマンシェットで潰した動脈が再び開くまでの再開通時間を測定するなどといった方法も用いられます。脈波伝達速度測定は動脈硬化が起こると血管が硬くなり、脈波伝達速度が速くなることを利用した検査であり、動脈硬化度を数値で知ることができることから重宝されています。
血管内皮機能検査も注目されています。これは、いったんマンシェットで潰した腕動脈が再び拡張したときの血管径を超音波で計測して、動脈が最大限に拡張できる程度を調べる検査です。
女性 20代
Q. 健診のコレステロール値に書いてあるLDL、HDLってなんですか?
A. LDLはlow density lipoprotein(低比重リポタンパク)の略であり、HDLはhigh density lipoprotein(高比重リポタンパク)の略です。血液中のLDLが増えすぎると、動脈硬化が促進されますが、HDLは組織に蓄積した余分なコレステロールを引き出して肝臓に運搬します。HDLが高ければ動脈硬化の進行が抑制されるので、善玉コレステロールといわれています。
女性 40代
Q. 健康診断の日に朝食を食べてしまいました。中性脂肪の値が300だったのですが、検査しなおしたほうがよいでしょうか?
A. 血液中の中性脂肪は概ね、いただいた食事に由来します。したがって、食事の後には高い値になるのは当然です。もし、正確な値を知りたいのであれば、検査しなおしたほうがよいでしょう。
しかし、最近、体重や食事の内容にとりわけての変化はなく、平素の中性脂肪値は高くはないのがわかっているのであれば、急いで再度の検査を行うほどの必要性はないでしょう。