過去の質問と回答
男性 70代
Q. 病院で血圧測定すると上が150mmHg以上、下が90mmHg以上ですが、自宅で朝と夜に計測した1カ月平均値は、朝は118/77mmHg 、夜は130/83mmHgと高くありません。どうしたらいいでしょうか?
A. 自宅では正常なのに、病院にいくと血圧が高い、というのは「白衣高血圧」という状態なのでしょう。白衣の前に座ると、緊張して血圧があがるのです。昔は、これは心配しないでよろしい、といわれていましたが、近年は、これも起こらないほうがよい、というようになりました。その程度のことである、と思って、食塩摂取を控えるなど、日常生活を注意するようになさってください。
男性 70代
Q. 血圧が170/60mmHgと高かったり、100/50mmHgと低かったりと、かなり変動します。少し心配です。血管が硬くなった証拠でしょうか?
A. 血圧はさまざまな状況で変動します。重要なことは平均して高くないかどうかということです。朝に血圧が高くなる「モーニングサージ」というのは問題となりますので、血圧変動のパターンがこれに該当するか、一度、かかりつけ医の先生にご相談ください。確かに血管が硬くなると、急激な変動が起こることがあります。いったん硬くなった血管を柔らかくするのは難しいのですが、それ以上進行させないためには運動療法が最も重要です。しかし、やみくもに運動するのではなく、ご自身の体力に合った運動を選択する必要があります。できれば、ジムのトレーナーなどに相談して決めるのが安全だと思います。
男性 80代
Q. スポーツジムで久しぶりに血圧測定をしたら、160/85mmHgでした。ふだんはこんなに高くないので心配です。測定したとき、気温が低く、薄着だったせいでしょうか?
A. 血圧は常に変動しており、寒いとき、緊張したときなどは高くなる傾向があります。測定する際は、暖かく、リラックスした状態で測るようにしましょう。気温などの影響のほか、年齢が上がるにしたがって、高血圧の患者さんが増えるのも事実です。できることなら、ふだんから家で血圧測定する習慣をつけ、「いつもの血圧」を知っておくと、気温などの影響で高いのか、病気で高いのかがわかります。
「寒さ」でいえば、とくに冬場は、家の中でも寒暖の差が大きくなります。急激な温度変化は血圧の急上昇を招き、心臓発作などにつながりますので、脱衣所やトイレなどの寒い場所では、ヒーターをつける、一枚上着を羽織るなどして、血圧の急上昇を避けるようにしてください。
女性 20代
Q. 家庭血圧を測定しているのですが、上の血圧が100mmHg前後、下の血圧が80~90mmHgです。脈圧が20前後と小さいことが多いのですが、大丈夫でしょうか?
A. 家庭血圧計は、最高血圧(上の血圧)はやや低めに、最低血圧(下の血圧)はやや高めに計測される傾向にあります。したがって、最高血圧と最低血圧の差である脈圧も、実際より小さく計測されることが多いようです。ご相談者様の場合、血圧値も正常範囲内ですし、脈圧についてもご質問の数値の範囲であればまったく心配ないと思われますので、ご安心なさってください。
ただし、いま脈圧が20だからといって、この先も20が続くとは限りません。最高血圧は年齢とともに上昇しますが、最低血圧は60代くらいから低下することが多く、脈圧も大きくなっていく傾向があります。脈圧が大きいと心臓病などのリスクが高まるといわれています。20代ではまだそうした心配はないと思いますが、いまのうちから高血圧や動脈硬化を進めないための生活を心がけていただければと思います。
女性 50代
Q. 下の血圧だけ高いのですが、どんな原因が考えられるでしょうか?
A. 血圧の上下には、大きな動脈と細い動脈の硬さや収縮性のバランスが関係しています。大きな動脈の動脈硬化が軽度で、細い動脈の収縮性が強い場合、拡張期血圧(下の血圧)が高くなります。細い動脈の収縮性を左右する因子には、自律神経、ホルモン、食塩摂取、体格などがありますが、いずれかを特定するのは難しいといわれています。 また、下の血圧は年齢との関係も知られており、50~60歳あたりまでは年齢に応じて上昇し、そのあとは徐々に低下するといわれています。 下の血圧も血管系の病気の発症に影響しますので、高い場合は治療が必要です。通常、治療により、上下の血圧とも低下するため、下の血圧そのものをねらった治療は考慮する必要はありません。
女性 70代
Q. 上の血圧と下の血圧の差が70㎜Hgくらいあります。心配ないでしょうか?
A. 心臓が収縮して血液を送り出すときの圧力のことを収縮期血圧(上の血圧)、血液が戻って心臓がひろがるときの圧力のことを拡張期血圧(下の血圧)といいます。この上下の血圧の差を「脈圧」といい、脈圧は年齢とともに大きくなるといわれています。なぜなら、血管も肌と同じように年齢とともに老化して、弾力を失っていくからです。 正常な脈圧は40~60mmHg程度といわれており、脈圧が大きすぎると、動脈硬化が進んでいる可能性があります。脈圧が70㎜Hg前後あるとのことですから、一度主治医に相談してみてください。
女性 50代
Q. 動脈硬化や心臓病の危険因子として、よく高血圧の話は聞きますが、低血圧の場合はどうなのでしょうか?
A. 高血圧が問題になるのは、高血圧が直接的に心臓への負荷となって酸素消費量を高める、間接的には動脈硬化を促進させる、という理由からです。低血圧は直接的には冠灌流圧(冠状動脈に血液を流すための圧力)を低下させることになりますが、心筋の酸素需要も低下するため、問題になることはありません。ただし、飲んでいる薬のために血圧が下がりすぎるようであれば、脳貧血の原因になる場合もあります。何かの薬の影響で、血圧が低いときは、担当医によく伺ってください。
女性 40代
Q. 納豆は高血圧に効くのか、悪いのか、いろいろ説があってわかりません。
A. 納豆は蒸した大豆に納豆菌を加えたものです。高血圧に対するその効用は、大豆についていわれていることと変わりません。しかし、ビタミンB2は大豆のままの場合の数倍を含むといいます。B2はエネルギー代謝や細胞の再生にかかわるビタミンで、脂質を多くとる人ではこれが不足しがちになります。
さらに、納豆には血栓溶解作用をもつナットウキナーゼが含まれています。これは納豆菌による発酵作用でできる酵素であり、大豆には含まれていません。他方、納豆はビタミンKの血中濃度を高めるので、血液を固まりにくくするお薬であるワルファリンの効果を弱めてしまいます。ワルファリンを服用中の方は、納豆は避けなければなりません。
Q.高血圧の父(70代)がお風呂で倒れないか心配です。入浴の注意点を教えてください。
A.入浴は肉体的疲労の回復というだけでなく、精神的にもリラックスさせてくれます。望ましい湯の温度は41ないし43度といわれていますが、高血圧がある人では40ないし41度とややぬるめのほうがよいとされています。特に注意しなければならないのは、むやみに長湯をしないことです。また、寒い冬場は浴室の温度が低いと、お湯から上がったとき、皮膚の血管が収縮して血圧が上昇するので、浴室の温度を高くしておく必要があります。
入浴後は乾いたタオルで水気をよくぬぐい、すぐに衣服を身につけて保温できるようにします。脱水にならないよう、入浴の前後で体重を測定し、体重減少分の水あるいはお茶を飲むことが勧められることもあります。
女性 50代
Q. 玉ねぎが高血圧によいそうですが、本当ですか?
A. 高血圧そのものに対する効果はまだ確認されていませんが、玉ねぎの涙を催す成分である硫化アリルはHDLコレステロール(善玉コレステロールと呼ばれ、体内に蓄積された古いコレステロールを回収し、肝臓に送るはたらきをしています)を増やし、LDLコレステロール(悪玉コレステロールといわれコレステロールを体内に供給する役割をしていますが、増加しすぎると血管に溜まって、動脈硬化を進行させてしまいます)を減らして、血栓防止や動脈硬化予防によいといわれています。また、硫化アリルの一部はアリシンと呼ばれる独特の香り成分で、ビタミンB1と結合してその吸収を高めるといわれていて、神経を鎮める効果もあります。
なお、血液を固まりにくくする血小板凝集抑制作用に注目している研究者もいて、玉ねぎファンは少なくありません。
女性 50代
Q. ストレッチが高血圧によいと聞きましたが本当ですか?
A. 運動は塩分制限、肥満やストレスなどの改善と並んで、血圧を下げる有効な手段です。
どなたにでもできる運動に身体の柔軟性を保つストレッチと血流を促すウオーキングがあります。このような運動は精神的にも気分のよいものです。
ストレッチは筋肉をほぐし、筋肉や関節の可動性や柔軟性を高めます。血流もよくするので血管の内皮細胞を刺激し、血管細胞を活性化します。毎日、10分から15分間、続けるとよいでしょう。
ウオーキングもまた、もっとも簡単で確実にできる運動です。カロリーを消費することによって、内臓脂肪型肥満を解消させ、血糖や脂質も改善させる効用があります。
しかし、運動中には血圧が上昇するので、好ましくない場合があります。重症の高血圧の方は運動の可否を医師に相談してからになさってください。
男性 40代
Q. 頭痛は高血圧の症状ですか? 頭痛や吐き気にたびたび襲われます。血圧が高めなのですがそのせいかと疑っています。
A. 「血圧が高めで頭痛、吐き気がある」というのであれば、これらの症状は血圧のせいではないでしょう。なんらかのストレスになるようなことがあって、頭痛、吐き気があり、このために血圧が高めになっていると考えてよいと思います。
もっとも、極端な高血圧になると、頭痛や吐き気などの症状が出てくることがあります。血圧が200mmHgを超え、あるいは300mmHgといった高い値になったとき、脳がはれて、浮腫状態になってくるためです。極端な場合は高血圧性脳症といいます。脳出血を起こすこともあります。このようなときには網膜にも浮腫を生じて、目が見えにくくなります。
男性 30代
Q.高血圧に自覚症状はありますか? 父が高血圧で薬を飲んでいて、自分も心配です
A. 極端な高血圧の場合を除いては、血圧が高いというだけでは自覚症状がないのが普通です。このため、高血圧はものをいわない「サイレント・キラー」といわれています。症状がなくても治療するのは、血圧が高いと動脈硬化などの血管病変が進行して脳卒中や心臓病が起こりやすくなるためです。このような病気にならないように、予防の意味で治療をするのです。
女性 40代
Q. もともと高血圧で薬を飲んでいるのですが、妊娠中も続けてよいのでしょうか?
A. 妊娠中に服薬すると、胎児に影響がでる可能性があり、いくつかの種類の降圧薬は使用が禁じられています。妊娠中には服薬が禁忌とされているのは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)であり、慎重さが求められているのは利尿薬系統の降圧薬です。妊娠中には極力、服薬を控えるのが安全であり、どうしても必要な場合にだけ、服薬するようにするのが望ましいでしょう。
男性 30代
Q.辛いものが大好きですが、辛いものを食べると血圧が高くなると聞きます。あまり食べないほうがよいのでしょうか?
A. 「辛いもの」が大好きだそうですが、血圧によくないのは「塩辛い」ものです。塩分を極力避けることがおすすめです。
塩辛くなければ、酸味、苦味、辛味は差し支えありません。塩辛さをこうした別の味に置き換えていただくというような工夫が望まれています。
男性 40代
Q.最近、急に鼻血の出ることが増えています。高血圧のせいでしょうか?
A. 鼻血の多くは鼻中隔前部の静脈叢(そう)に傷がついて、ここから出血するものです。血圧は動脈圧であり、高血圧のために直接に鼻血が起こりやすくなるのではありません。
しかし、高血圧の人はのぼせやすく、鼻血もまた、のぼせると起こるので、この意味では要注意といえるでしょう。ふだんから家庭血圧計を用意しておいて、おかしいと思ったら、血圧を測るようになさるのがもっとも安心できる方法と思います。
男性 40代
Q.健診で血圧が高めに出ました。血圧が高いと動脈硬化になると言われましたが、血圧と動脈硬化は関係あるのでしょうか?
A. 高血圧は動脈硬化の促進因子の一つです。高血圧の人では、脳卒中や心筋梗塞などの心臓病の方が多くみられ、この頻度は血圧が高いほど、大きくなります。これは高血圧のために脳や心臓などの臓器を灌流する動脈に動脈硬化が進行しやすくなっているためです。
逆に、高血圧がよく管理され、血圧を低く維持できていれば、こうした病気になる確率は小さくなります。