過去の質問と回答
女性 30代
Q. パンとご飯では、どちらが血糖値が上がりやすいですか? また、血糖値を上げない食べ方があれば、教えてください。
A. 血糖値は、食事で摂取した炭水化物(糖質)が体内で分解されブドウ糖となり、血液を通って肝臓へ運ばれるときに上昇します。血糖値の上昇のスピードは糖質の量ではなく、食物繊維の量によって左右されることがわかってきています。血糖値は、糖質、炭水化物、脂質の順に上がりやすく、その吸収率は食材の精製度によっても異なるといわれています。たとえば、米と米粉の場合、米粉のほうが吸収されやすいため、食後の血糖値ははやく上がります。 ご飯とパンを比べると、パンのほうが消化・吸収の速度がはやいため、血糖値が上がりやすいといえます。 血糖値の上がり方を緩やかにする食べ方としては、規則正しい時間に食事をとるようにすること、食物繊維を多く含む野菜、豆類、海藻類などから食べ始めること、精製度の低い食材を選ぶようにすることなどがおすすめです。
女性 60代
Q. わが家では以前から、動脈硬化予防のために「亜麻仁(あまに)油」をヨーグルトに入れて食べています。最近、亜麻仁油はよくないという情報を見つけたのですが。本当でしょうか?
A. どのくらいの期間、食べ続けていらっしゃるかわかりませんが、たとえ健康効果をうたっていたとしても、亜麻仁油が「油」であることに変わりはありません。日常の料理に使う油を亜麻仁油に変えることはおすすめしますが、わざわざ油を余分に食べる必要はないと思います。これは、亜麻仁油に限ったことではなく、オリーブ油などについてもいえることです。
女性 50代
Q. 主人はLDLコレステロールが高く、私は中性脂肪が高いのですが、食事の注意点は同じでしょうか?それぞれ、別々に気をつけたほうがよいことがあれば教えてください。
A. LDLコレステロールが高い人は、コレステロールを上げるはたらきがある飽和脂肪酸を多く含む食品(肉の脂身やバター、牛乳など)をとりすぎないようにしましょう。食物繊維はコレステロールの吸収を抑え、排出を促してくれますので、野菜や大豆、海藻などを、積極的に食事に取り入れるようにしてください。 中性脂肪が高い人は、食べすぎ、甘いお菓子やアルコールのとりすぎなどが原因ですから、甘いものや炭水化物を控えめにすることから始めましょう。中性脂肪が高い人は肥満を伴うこともよくありますので、太っている場合は、全体のエネルギー量を抑えて減量を行うことも大切です。
男性 50代
Q. 糖尿病の知人が、食べる順番で血糖値が下がるといっていましたが、食べる順番でコレステロールの吸収を抑えることができるのでしょうか?
A. 野菜などの食物繊維から先に食べる食事法は、食後の血糖値の上昇がゆるやかになるため、糖尿病の患者さんには有効といわれています。しかし、コレステロールの吸収と食べる順番はほとんど関係がありません。というのも、糖は先に腸に流れていきますが、油を含んだ食事は数時間胃にとどまるため、先に食べても後に食べても胃の中で混ざってしまうからです。
食べる順番は、コレステロール対策としては効果がないといわざるをえませんが、先に野菜を食べたり、汁物を飲だりしておけば、おなかが膨らみますから、全体の食事量が減って、肥満対策としては効果が期待できます。肥満を解消すれば、中性脂肪も減りますので、結果的にはコレステロール対策になるといえます。
Q. 50代の父がコレステロール値が下がらないとこぼしていました。食事は野菜と魚主体で、肉や卵はほとんどとりません。ビールと日本酒をたくさん飲む(ビールなら大瓶2本/日本酒なら2合以上)のですが、そのせいでしょうか?
A. 飲酒は中性脂肪の上昇には関係しますが、それ自体でコレステロールの上昇には関係ないと考えられています。もしコレステロールが高いままだとするとやはり、アルコールと一緒に食するおつまみが関係しているのではないでしょうか。
おつまみに多い魚でも内臓を多く食べることなどが関係している可能性がありますので、一度栄養士さんと相談してみるのもよいかもしれません。
Q. マーガリンは「トランス脂肪酸」を含むのでバターのほうが健康によいと、友人にいわれました。植物性油のほうが健康的なイメージがありますが、どちらを選ぶべきですか?
A. トランス脂肪酸が最近問題となっています。アメリカやヨーロッパではトランス脂肪酸を制限する政策がとられています。トランス脂肪酸は実はほとんどが人工的に作られたものです。植物油で作ったマーガリンをバターに似たように硬くするための硬化油を用いています。これがトランス脂肪酸です。最近は、あまり固いマーガリンはありませんが、数十年前はマーガリンは固いものでした。その後、トランス脂肪酸が体に悪いことがわかり、徐々に少なくなっているのが現状だと思います。しかし、それでもクッキーやポップコーンなどには多く含まれていることはわかっていますので注意が必要です。つまり、植物性脂肪が悪いのではなく、添加されたトランス脂肪酸が問題なのです。いずれにしても油についてはカロリーを考えて、適度に摂取することが大切です。
女性 20代
Q.朝食を抜く健康法を知りましたが、食べないと太るという話も聞きます。健康にはどちらがよいでしょうか?
A. 朝食をとらない人が若い世代を中心に年々、増えてきています。国民栄養調査でも、朝食欠食者は男女とも、20代が最多になっています。
朝食を抜くと、インスリンの出方が悪くなって、昼食と夕食後の血糖値上昇がいっそう顕著になります。血糖値変動の範囲が大きくなり、体脂肪の合成が促進され、このために太りやすくなる人があります。
エネルギー供給の上からは、知的活動を支える脳のエネルギー源としての炭水化物摂取が十分ではなくなるので、朝食抜きの分だけ、エネルギー不足になります。さらにまた生体リズム維持の上からも、朝食をとることが大事といえます。
朝食は大腸を刺激して排便を促します。快便、快食、快眠の3原則維持の上にも朝食の重要性があります。
つまり、朝食を抜くのは健康上、好ましいことではありません。
女性 30代
Q. 豆乳はコレステロールを下げる効果があるのですか? 牛乳より豆乳がいいのでしょうか?
A. 豆乳は磨砕した大豆の絞り汁で、乳状なので豆乳といいますが、繊維物質を除いた大豆であり(除かれた繊維物質がオカラです)、牛乳とは違います。豆乳はコレステロールを低下させ、高い血圧を抑制するといわれていますが、それは大豆に含まれているレシチンやイソフラボンがもつ作用でもあるといわれています。
大豆は主成分がたんぱく質であり、「畑の肉」といわれます。イソフラボンは強い抗酸化作用があり、コレステロール値上昇を抑制するポリフェノールの一種です。女性ホルモンのエストロゲンと似た作用があります。大豆のままでは消化がよくないので、豆乳としていただくのがおすすめとされています。ダイズサポニンには血圧低下のはたらきがあり、レシチンは記憶力向上によいといわれています。
一方、牛乳はたんぱく質、脂質、鉄分、リン、ミネラル、ビタミンA, B2などを含む高カロリーのバランス食品です。乳糖やカゼインホスホペプチドはカルシウムなどミネラルの吸収を促進します。免疫機能に関しても優れており、牛乳に含まれているラクトフェリンは免疫力を高めるとされています。
このように、豆乳と牛乳は乳状であるという点で似ていますが、牛乳と豆乳ではその効用が違います。
女性 40代
Q. 納豆は高血圧に効くのか、悪いのか、いろいろ説があってわかりません。
A. 納豆は蒸した大豆に納豆菌を加えたものです。高血圧に対するその効用は、大豆についていわれていることと変わりません。しかし、ビタミンB2は大豆のままの場合の数倍を含むといいます。B2はエネルギー代謝や細胞の再生にかかわるビタミンで、脂質を多くとる人ではこれが不足しがちになります。
さらに、納豆には血栓溶解作用をもつナットウキナーゼが含まれています。これは納豆菌による発酵作用でできる酵素であり、大豆には含まれていません。他方、納豆はビタミンKの血中濃度を高めるので、血液を固まりにくくするお薬であるワルファリンの効果を弱めてしまいます。ワルファリンを服用中の方は、納豆は避けなければなりません。
女性 50代
Q. 玉ねぎが高血圧によいそうですが、本当ですか?
A. 高血圧そのものに対する効果はまだ確認されていませんが、玉ねぎの涙を催す成分である硫化アリルはHDLコレステロール(善玉コレステロールと呼ばれ、体内に蓄積された古いコレステロールを回収し、肝臓に送るはたらきをしています)を増やし、LDLコレステロール(悪玉コレステロールといわれコレステロールを体内に供給する役割をしていますが、増加しすぎると血管に溜まって、動脈硬化を進行させてしまいます)を減らして、血栓防止や動脈硬化予防によいといわれています。また、硫化アリルの一部はアリシンと呼ばれる独特の香り成分で、ビタミンB1と結合してその吸収を高めるといわれていて、神経を鎮める効果もあります。
なお、血液を固まりにくくする血小板凝集抑制作用に注目している研究者もいて、玉ねぎファンは少なくありません。
女性 30代
Q.アーモンドがコレステロールを下げるって本当ですが? アーモンドミルクでも効果がありますか?
A. くるみ、アーモンドなどのナッツはオレイン酸、α-リノレン酸など、不飽和脂肪酸、抗酸化作用をもつ栄養素、植物ステロールを豊富に含んでいるので、健康維持には効果があるといわれています。
アメリカにはDASH食(高血圧を止める食事)というナッツを含むメニューがあります。さまざまな報告を集計して、ナッツ67gを毎日摂取すると、コレステロールが5%低下すると結論している論文もあります。アーモンドは14g、80kcalがちょうどよいというのですから、67g、つまり380kcalを毎日食べるのはあまり容易ではないかもしれません。
女性 40代
Q. 「コレステロールを下げるお茶」という広告を見ました。効果はあるのでしょうか?
A. お茶には脂肪吸収を抑制するカテキンが含まれていてコレステロールを低下させるといわれています。販売会社から提示されている資料によると、66人をカテキンを含むお茶を飲用した人と飲まなかった人とに分けて内臓脂肪面積を調査したところ、カテキンを含むお茶を飲んだ人では脂肪面積は9%減少して、3カ月続いたということです。
また、別の実験で、飲用した群と飲用しなかった群に分け、LDLコレステロールを測定すると、飲用群では2カ月後に10%低下し、3カ月後もなお低下していたという資料もあります。少ない人数で短い期間にみられた効果ですが、よい影響はあるようだといってよいのでしょう。
女性 50代
Q. 動脈硬化を防ぐには、どんな食材を食べるとよいのでしょうか?
A. 第一に考えることは、適正な摂取カロリーの維持です。適正なカロリー量は「身長(m)×身長(m)×22×30」として計算されます。メタボリックシンドロームの傾向にあるのであれば、カロリー制限が必要です。腹八分目の食事に慣れること、そして、よく噛んで食べるようにしてください。
第二には、血圧が高ければ、食塩制限が大事です。日本高血圧学会では高血圧の人では1日6 g 未満を目標とし、高血圧がない人では1日、男性で9 g 未満、女性で7.5 g未満が目標とされています。成人の食塩必要量は1日1.5 gであり、ここまで減らしても差し支えないようです。塩分の排出を促す食事もよいでしょう。りんご、大豆製品、いも類、海藻類などがおすすめです。
第三には野菜をたっぷりとってください。1日350 gが適当とされています。野菜の抗酸化成分は老化を進行させる活性酸素を無害化します。野菜を最初に食べることで満足感を得やすくすると肥満の解消に役立つという効用もあります。
第四に、脂肪分、つまり飽和脂肪酸が多いものを控えましょう。肉ならば、脂肪の少ない赤身の肉がよいでしょう。おすすめは魚と大豆です。
第五として、これらのほかにはカルシウム、マグネシウム、植物繊維に富んだ食品をおすすめします。再度の登場ですが、魚、豆類、いも類、野菜、そして果物、牛乳などです。
男性 30代
Q. 辛いものが大好きですが、辛いものを食べると血圧が高くなると聞きます。あまり食べないほうがよいのでしょうか?
A. 辛いものが大好きだそうですが、血圧によくないのは「塩辛い」ものです。塩分を極力避けることがおすすめです。
塩辛くなければ、酸味、苦味、辛味は差し支えありません。塩辛さをこうした別の味に置き換えていただくというような工夫が望まれています。
女性 50代
Q.1日に卵をいくら食べてもコレステロールが上がらないと新聞で読みましたが本当ですか?
A. 卵はコレステロール・リッチな食品です。1日に食べる卵の数が多くなれば、それだけコレステロール摂取量が増えるので、血液のコレステロール値は高くなります。 しかし、食内容が西洋型になってきた今日では、大半の方々のコレステロール値が高くなってしまっていて、卵の影響は無視されるほどに小さくなっています。
NIPPON DATA 1980年の調査では卵の摂取数に応じて、コレステロール値は週1、2個ではおよそ186 mg/dL、1日 2個の人では197 mg/dLと数に応じて漸増していましたが、10年後の1990年の調査では週1、2個の摂取でもすでに、およそ206 mg/dLと高く、1日2個でも202 mg/dLと卵の数の影響はみられなくなってしまっています。
女性 20代
Q.コーヒーやお茶は高血圧や動脈硬化の予防によいですか? それとも逆効果ですか?
A. コーヒーはカフェインやクロロゲン酸といった精神興奮物質、血管拡張物質を含んでいます。お茶もまた、緑茶やウーロン茶まで幅が広いのですが、ケンフェロールなどの抗酸化作用、殺菌作用があるタンニン、抗菌作用のテアフラビン、体脂肪軽減作用があるカテキン、安定作用があるテアニンなどを含んでいます。いずれも動脈硬化の予防によいといわれている物質です。
男性 20代
Q.ラーメンが大好きで、毎日昼はラーメンです。油っぽいスープが好きで全部飲まないと食べた気がしません。ラーメンをやめないと早死にしてしまいますか?
A. ラーメンは汁に塩分含量が多いのが問題になります。ラーメンには1杯で食塩5ないし6gを含むものがあります。日本高血圧学会は食塩摂取量を1日6g未満とすることを勧めていますが、ラーメン1杯で1日の限度量を超えてしまうことがあるわけです。特に、高血圧が疑われる方は注意が必要です。
女性 40代
Q.健康診断の日に朝食を食べてしまいました。中性脂肪の値が300だったのですが、検査しなおしたほうがよいでしょうか?
A. 血液中の中性脂肪は概ね、いただいた食事に由来します。したがって、食事の後には高い値になるのは当然です。もし、正確な値を知りたいのであれば、検査しなおしたほうがよいでしょう。
しかし、最近、体重や食事の内容にとりわけての変化はなく、平素の中性脂肪値は高くはないのがわかっているのであれば、急いで再度の検査を行うほどの必要性はないでしょう。