過去の質問と回答
男性 40代
Q. 以前よりHDLコレステロール値が低かったのですが、今年の検査では29 mg/dLとなり、最低値を更新しました。数値を上げる方法があれば教えてください。
A. HDLコレステロールが29 mg/dLというのはかなり低いと思います。HDLコレステロールを上げるには有酸素運動が有効といわれています。週3回くらい一日30分の有酸素運動(ジョギングなど)をおすすめします。HDLコレステロールが低下する原因としては運動不足以外には肥満と喫煙ですので、もしそのようなことがあれば、その是正が必要になります。
女性 40代
Q. 先日の血液検査でLDLコレステロールが180mg/dLと高かったため、薬(スタチン)をのむようにすすめられましたが、のみたくありません。HDLコレステロールや中性脂肪、血糖値は基準値内でした。それでも薬はのまなくてはいけませんでしょうか。
A. 40代の女性でLDLコレステロールが180mg/dLということは、家族性高コレステロール血症が疑われます。もし、家族性高コレステロール血症と診断されれば、LDLコレステロールを下げるために薬(スタチン)を使用すべきだと思います。家族性高コレステロール血症の場合は、小さい時からコレステロールが高いことが知られており、長い間の変化として、血管に動脈硬化性の病変が起こっている可能性があります。まずは、家族性高コレステロール血症か否かの診断をしてもらってください。
男性 50代
Q. 健康診断でnon-HDLコレステロール値が200を超えていました。そもそもnon-HDLコレステロール値とは何を表しているのですか。どう対応したらいいでしょうか?
A. non-HDLコレステロールの値は、悪玉といわれるLDLコレステロールとその他の悪玉コレステロール(レムナント、小型LDLなど)の総和ですので、動脈硬化を誘発する可能性のあるコレステロールをすべて表していると考えていいと思います。non-HDLコレステロールは170mg/dL以上を異常値としています。non-HDLコレステロールが高い場合は、LDLコレステロールが高い場合とHDLコレステロールが低い場合が考えられます。前者については、食事療法が有効です。動物性の脂を控えることと、コレステロールが多い食品(卵黄など)を控えることです。このようにして1カ月して採血し、それでも高い場合は薬物療法が必要かもしれません。主治医にご相談ください。また、HDLコレステロールが低い場合は運動療法が必要で、食事療法や薬物療法はあまり有効ではありません。
女性 50代
Q. 人間ドックでコレステロール値が高いといわれ、近所の内科で再検査しました。総コレステロール265mmHg、LDLコレステロール170mmHg、中性脂肪170mmHgといずれも高く、スタチンという薬を処方されましたが、薬は飲み続けなければいけませんか?
A. 年齢的に判断して、閉経後の高コレステロール血症ではないかと思います。数値がかなり高いので、スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)を飲むことには問題ありません。薬を飲むことに不安がある場合は、実際に血管がどのような状態になっているかを頸動脈エコーという検査で調べてみるとよいでしょう。異常があれば、ぜひ薬で治療をしてください。また、異常がなくても、LDLコレステロールがこれくらい高ければ、薬を飲んでいたほうが動脈硬化の予防のためにはよいので、服用を続けていただければと思います。スタチンの副作用は肝臓や腎臓などの障害が0.01%くらい、筋肉の障害は0.001%くらいですので、ほとんど気にしなくてよいでしょう。
女性 70代
Q. 健康診断でLDLコレステロール162mg/dL、HDLコレステロール85mg/dLでした。食事に気をつけ運動もしていますがLDLコレステロールに変化がありません。服薬を勧める医師と、もう少し数値が上がってからでよいという医師がおられ、どうすべきか悩んでいます。
A. 原則として、LDLコレステロールは160mg/dL未満にすることが望ましいと思いますが、HDLコレステロールが高めで、他の危険因子(高血圧や糖尿病など)もないようですので、必ずしも服薬が必要とはいえません。 できれば、頸動脈エコーの検査を受けて、動脈硬化が進んでいるか確認したほうがよいと思います。異常があれば、すぐに服薬を考慮すべきです。
女性 40代
Q. 健康診断で脂質代謝異常を指摘され(LDLコレステロール153mg/dL、HDLコレステロール132mg/dL)、医療機関を受診したのですが、「HDLコレステロールは高くても大丈夫」といわれ、そのままにしています。本当に大丈夫でしょうか?
A. HDLコレステロールは「善玉コレステロール」ともいわれるように、一般的には高くてもあまり問題はありません。しかし、100mg/dL以上の場合は、ある種の遺伝的疾患も考慮に入れる必要があります。遺伝子の検査は、特殊な検査ができる医療機関でないとできませんので、まずは、頸動脈エコーなどで、異常がないか検査してもらうのがよいでしょう。 もし、異常が見つかれば、なんらかの治療が必要になります。LDLコレステロールも高い場合は、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)というお薬で、LDLコレステロールを下げる治療を行います。HDLコレステロールとLDLコレステロールを下げるお薬として、プロブコールというお薬もありますが、それが動脈硬化予防にいいか証明されておらず一般的には使われていません。
女性 40代
Q. コレステロールを下げるには、日常生活でどんなことに気をつけたらよいのでしょうか?
A. コレステロールが高い場合、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が高いのか、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)が高いのかを把握する必要があります。HDLコレステロールが高い場合は、あまり問題になりませんが、LDLコレステロールが高い場合には、動脈硬化の進行が早まりますので、下げる必要があります。 まず、LDLコレステロールが高くなる遺伝子をもっているかどうかを確認します。もし、そのような遺伝的な高コレステロール血症(「家族性高コレステロール血症」といいます)であると、薬で下げる以外には方法がありません。そうではない場合は、食事が大きな意味をもちます。動物性の脂が大きく影響しますので、肉類の摂取は極力避けて、魚を中心とした食事にしてください。また、食物繊維の多い食品(根菜類など)を積極的に摂取していただきたいと思います。 運動はコレステロールの低下にはあまり役立ちませんが、動脈硬化を改善するためには、きわめて有効といわれています。 つまり、動脈硬化を改善するには、運動のほか、魚や大豆製品を摂取すべきといわれており、いわゆる”日本型の食生活”(塩分は制限して)が勧められます。
女性 50代
Q. 40代後半からコレステロール値が急に高くなりました。脂質異常症の薬を服用していますが、食事、運動では、どんなことに気をつけたらよいでしょうか?
A. おそらく更年期による高コレステロール血症ではないかと思われます。女性は、50歳ごろから女性ホルモン(エストロゲン)が低下し始めるため、コレステロール値が上昇しやすくなります。 薬を飲んでいても、食事療法、運動療法をあわせて行っていただくことが重要です。食事では、動物性脂肪(牛肉、豚肉、ひき肉など)を控え、できれば、魚や大豆などでたんぱく質を摂取するようにするとよいでしょう。また、食物繊維(海藻類や根菜類、緑黄色野菜など)をできるだけとるように心がけてください。 更年期は、骨粗しょう症の可能性も出てきます。運動療法(有酸素運動)は、善玉コレステロールといわれるHDLコレステロールを上昇させる効果があるほか、骨粗しょう症の予防にもおすすめです。
男性 80代
Q. 健康診断でHDLコレステロールが34mg/dLと低く、注意するようにといわれました。どんなことに気をつければよいでしょうか?
A. HDLコレステロールは、多少低くてもすぐに大きなリスクになることはありません。これに加えて、LDLコレステロールが極端に高い場合や、これまでに高血圧、糖尿病などの生活習慣病、狭心症などがあり、こうした病気のコントロールが不十分な場合には、さらなる動脈硬化性疾患を予防するために改善を必要とすることがあります。 生活習慣では、脂肪の多い肉類、卵の黄身、生クリームなどの乳脂肪の過剰摂取を控え、緑黄色野菜や青魚をしっかりと摂取し、適度な有酸素運動を継続して行うことをおすすめします。
女性 50代
Q.主人はLDLコレステロールが高く、私は中性脂肪が高いのですが、食事の注意点は同じでしょうか? それぞれ、別々に気をつけたほうがよいことがあれば教えてください。
A. LDLコレステロールが高い人は、コレステロールを上げるはたらきがある飽和脂肪酸を多く含む食品(肉の脂身やバター、牛乳など)をとりすぎないようにしましょう。食物繊維はコレステロールの吸収を抑え、排出を促してくれますので、野菜や大豆、海藻などを積極的に食事に取り入れるようにしてください。 中性脂肪が高い人は、食べすぎ、甘いお菓子やアルコールのとりすぎなどが原因ですから、甘いものや炭水化物を控えめにすることから始めましょう。中性脂肪が高い人は肥満を伴うこともよくありますので、太っている場合は、全体のエネルギー量を抑えて減量を行うことも大切です。
男性 50代
Q. 糖尿病の知人が、食べる順番で血糖値が下がるといっていましたが、食べる順番でコレステロールの吸収を抑えることができるのでしょうか?
A. 野菜などの食物繊維から先に食べる食事法は、食後の血糖値の上昇がゆるやかになるため、糖尿病の患者さんには有効といわれています。しかし、コレステロールの吸収と食べる順番はほとんど関係がありません。というのも、糖は先に腸に流れていきますが、油を含んだ食事は数時間胃にとどまるため、先に食べても後に食べても胃の中で混ざってしまうからです。
食べる順番は、コレステロール対策としては効果がないといわざるをえませんが、先に野菜を食べたり、汁物を飲んだりしておけば、おなかが膨らみますから、全体の食事量が減って、肥満対策としては効果が期待できます。肥満を解消すれば、中性脂肪も減りますので、結果的にはコレステロール対策になるといえます。
男性 40代
Q. 以前は、脂質異常症の診断基準に「総コレステロール」が入っていたと思うのですが、最近の基準にはありません。総コレステロールは気にしなくてもよいのでしょうか?
A. 現在、動脈硬化の診断や治療の際の指針として用いられている『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』では、動脈硬化のリスクを判断するうえで、LDLコレステロールをもっとも重要な指標とすることが推奨されています。総コレステロールは、LDLコレステロールやHDLコレステロールなど、すべてのコレステロール値を合算しているため、HDLコレステロールが高い場合など、リスクの判断が正しくできない可能性があるからです。もちろん、総コレステロール値がなくなったわけでなく、病院で行う血液検査などに、数値が記載される場合もあります。その場合は、LDLコレステロールやHDLコレステロール値を参考にしてください。
女性 50代
Q. 健康診断で、総コレステロール 268mg/dL、HDLコレステロール 99mg/dL、LDLコレステロール144mg/dL、中性脂肪 60mg/dLのC判定でした。病院の先生は「大丈夫です」とのことでしたが、本当に大丈夫でしょうか?
A. LDLコレステロールが144mg/dL(基準値:140mg/dL未満)と若干高めですが、HDLコレステロールが99mg/dL(基準値:40mg/dL以上)と高いので、あまり心配することはないと思います。ただし、50代以降の女性は、少しずつ女性ホルモン(エストロゲン)が減少してきて、LDLコレステロールが高くなることがあります。また、高血圧や糖尿病、腎臓病などがある場合は問題となりますが、ほかに疾患がない場合は、運動や食事などに配慮すればよいと思います。
女性 30代
Q.現在、妊娠中ですが、血液検査の結果、総コレステロールも中性脂肪も妊娠前の倍近くあり、驚いています。一時的なものでしょうか? 産後は元に戻りますか?
A. 妊娠すると、血液中の脂質の値が高くなるのは一般的なことで、総コレステロールも中性脂肪も倍くらいの範囲の増加であれば、とくに問題はありません。出産して授乳が終わるころには、高コレステロール状態も改善しているはずですので、出産後にもう一度血液検査を行って、低下していることを確認してみてください。
男性 40代
Q. 健康診断で、中性脂肪が高いといわれてしまいました。私はどちらかというとやせ型ですが、太っていなくても中性脂肪が高くなるのでしょうか?
A. 中性脂肪が高い人は、エネルギーの過剰摂取が原因であることが多いため、肥満であることが多いです。しかし、外見上はやせていても、中性脂肪の値が高い人がいるのも事実です。とくに、やせているのにおなかがぽっこりしている人は要注意といえます。こうした「内臓脂肪型肥満」は、生活習慣病の引き金になるといわれています。原因は、不規則な食生活や運動不足といわれており、とくに、お菓子などの甘いものやアルコールをとりすぎると、中性脂肪は増えますし、運動不足が続けば、筋肉は減少して、内臓脂肪が増えてしまいます。やせているからといって安心せず、生活習慣を見直すようにしてください。
Q.8歳になる息子が血液検査の結果、LDLコレステロール値が高い(150mg/dL)と注意されました。身長127cm、体重27kgで、やややせ形です。子どものうちからコレステロール高めなんて、大丈夫なのでしょうか? また、原因はなんでしょうか?
A. おそらく家族性高コレステロール血症(FHと略します)だと思います。
遺伝性の病気で、ご両親のどちらかにその遺伝子がある可能性が高いです。決して大丈夫ではなく、早い時期の心臓病などの原因になりますので、一度専門の先生に診てもらったほうがいいと思います。子どもの時からの注意が必要だからです。その時に一緒にご両親も診てもらうといいでしょう。
Q.コレステロール値の増加は、体内で合成されるのが原因だと聞きました。では、私たちは何に気をつければよいのでしょうか?
A. コレステロールは主として肝臓で合成されます。1日2gくらいが合成されますが、食事由来のコレステロールは300~400mgで、吸収されるのはその50%ですので基本的には肝臓での合成が主体と考えられますが、実は小腸の中には胆汁由来のコレステロールも存在し、1日800~2,000mg分泌されていると報告されています。ですので、その50%が吸収されるということは決して少ない量ではないことがおわかりだと思います。
また、肝臓で作られたり、小腸で吸収されたコレステロールは、LDLというリポタンパクで血中を運搬されます。コレステロールが高いという状況は、このLDL中のコレステロールが増えていることを意味しています。これは細胞の表面にあるLDL受容体というタンパクを介して細胞に取り込まれますが、LDL受容体が少なくなるとLDLがうまく処理されなくなり、血中のLDLコレステロールが高くなるのです。LDL受容体のタンパク合成は食事中のコレステロールや飽和脂肪酸(動物性脂肪)が抑制しますので、血中のコレステロールを下げるためには食事中の飽和脂肪酸やコレステロールを制限することが有効なのです。
Q.健康診断で医師に生活習慣を改善するよう注意を受けました。「コレステロール」と「中性脂肪」について説明されたのですが、よくわかりません。2つはどのように違うのでしょうか?
A. コレステロールも中性脂肪も脂質と呼ばれる物質の一種です。水と仲が悪いという性質は同じですが、役割が全く異なります。コレステロールは、細胞膜の構成成分であり、ステロイドホルモンや性ホルモンの原料ともなりますが、多すぎると動脈硬化の原因ともなります。一方、中性脂肪はエネルギーの貯蔵庫のようなもので、分解してエネルギー源となります。ですので、多すぎると皮下脂肪や腹部脂肪、肝臓にたまり脂肪肝にもなります。動脈硬化にとってはそれ自体が血管にたまるのではないのですが、コレステロールが動脈にたまりやすくするという性質もあるため、あまり高くならにようにしたほうがいいということです。
女性 40代
Q.特に体重も生活習慣も変わっていないのに、健診ではじめてコレステロール値を注意されました。年齢と関係ありますか?
A. 女性の場合、年齢特に更年期に達するころから、コレステロールが上昇することが多いのです。40代ころから徐々に女性ホルモン(エストロゲン)が減少して、一般的には55歳ころが閉経の平均的な年齢ですので、40代で徐々に女性ホルモンが減少しコレステロールが上昇するのは大いにあることだと思います。ただ、あわてる必要はなくお魚や大豆製品を多く摂取することを心がけてください。
男性 30代
Q.総コレステロール値が180mg/dL→220mg/dLと年々増えています。妻のほうが大食いなのにコレステロールの数値が低いのはなぜですか?
A. 男性の方は働き盛りの30代、40代くらいから徐々にコレステロールが上昇する方が多いのです。これは、基本的には食生活が関係していると考えられます。飽和脂肪酸(動物性脂肪)やコレステロールの摂取過多に注意してください。いっぽう、女性は女性ホルモン(エストロゲン)にコレステロールを低下させる作用がありますので、更年期までは、多少の生活習慣のバランスが悪くなってもコレステロールには影響しないことが多いのです。
女性 40代
Q.5年ほど前からLDLコレステロール値が160から180と増えていき、今年とうとう200を超えてしまいました。治療の必要はありますか。
A. 閉経に近づいてくると、女性ホルモンが少しずつ減ってきて、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)は上昇することが多いことが確認されています。LDLコレステロールが上昇すると、動脈硬化(狭心症や心筋梗塞など)の発症頻度が高まることも、すでに確認されていることです。
しかし、LDLコレステロールは、高くなっても、糖尿病などの合併症がない限り、ある一定の期間を経過しなければ、動脈硬化まで発展しないことも明らかになっています。したがって、ご質問の方も60歳ころまではお薬などの積極的な治療の対象にはならないと思います。 ただし、LDLコレステロールは低く保っていたほうがいいのは当然ですので、飽和脂肪酸(動物性脂肪)やコレステロールの多い食品(卵類)の摂取は控えるようにしてください。
また、動脈硬化予防のためにはお魚や大豆製品の摂取が有効であるといわれていますので、積極的に摂取されることをおすすめします。運動ではLDLコレステロールは低下しませんが、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)は上昇することが期待され、動脈硬化予防にはきわめて有効であることがわかっています。今は、できるだけ動脈硬化予防にいいことを継続してください。
男性 40代
Q.コレステロール値が高いとどんな症状があるのですか? どこも痛いところはないけれど・・・
A.コレステロール値が高くなっても、そのための症状はでてきません。コレステロールが高いことは高血圧と同じようにサイレントキラーといわれ、症状のないまま動脈硬化を進行させます。
ただし、外見上はときに、特殊な身体的所見をみる場合があります。脂肪が皮膚に沈着して扁平黄色腫というさまざまな大きさの黄色板となることがあるのです。眼瞼の内角部にみることがよくあるのですが、肘(ひじ)や膝(ひざ)など、関節部やアキレス腱部に沈着してゴツゴツとした膨らみになることもあります。
女性 30代
Q.豆乳にはコレステロールを下げる効果があるのですか? 牛乳より豆乳がいいのでしょうか?
A. 豆乳は磨砕した大豆の絞り汁で、乳状なので豆乳といいますが、繊維物質を除いた大豆であり(除かれた繊維物質がオカラです)、牛乳とは違います。豆乳はコレステロールを低下させ、高い血圧を抑制するといわれていますが、それは大豆に含まれているレシチンやイソフラボンがもつ作用でもあるといわれています。
大豆は主成分がたんぱく質であり、「畑の肉」といわれます。イソフラボンは強い抗酸化作用があり、コレステロール値上昇を抑制するポリフェノールの一種です。女性ホルモンのエストロゲンと似た作用があります。大豆のままでは消化がよくないので、豆乳としていただくのがおすすめとされています。ダイズサポニンには血圧低下のはたらきがあり、レシチンは記憶力向上によいといわれています。
一方、牛乳はたんぱく質、脂質、鉄分、リン、ミネラル、ビタミンA, B2などを含む高カロリーのバランス食品です。乳糖やカゼインホスホペプチドはカルシウムなどミネラルの吸収を促進します。免疫機能に関しても優れており、牛乳に含まれているラクトフェリンは免疫力を高めるとされています。
このように、豆乳と牛乳は乳状であるという点で似ていますが、牛乳と豆乳ではその効用が違います。
女性 30代
Q.くるみやアーモンドがコレステロールを下げるって本当ですか? アーモンドミルクでも効果がありますか?
A. くるみ、アーモンドなどのナッツはオレイン酸、α-リノレン酸など、不飽和脂肪酸、抗酸化作用をもつ栄養素、植物ステロールを豊富に含んでいるので、健康維持には効果があるといわれています。
アメリカにはDASH食(高血圧を止める食事)というナッツを含むメニューがあります。さまざまな報告を集計して、ナッツ67gを毎日摂取すると、コレステロールが5%低下すると結論している論文もあります。アーモンドは14g、80kcalがちょうどよいというのですから、67g、つまり380kcalを毎日食べるのはあまり容易ではないかもしれません。
男性 50代
Q.ダイエットして、体重は減らしたのにコレステロール値は上がりました。なぜですか?
A.肥満はそれ自体が動脈硬化促進因子です。コレステロールの数値には反映されなかったようですが、肥満という動脈硬化の進展因子は抑えられたことを喜びましょう。
コレステロールを変化させる因子は体重だけではなく、生活習慣の一つ一つが影響しますし、変えることのできない遺伝性の素因もあります。しかも、このような遺伝的素因の要素が大きい人ほど、生活習慣の是正の効果が大きいので、体重減少はいっそう大きな意味をもちます。55歳というと、今のこの時期、このような努力がもっとも大事であるといえます。
女性 40代
Q.「コレステロールを下げるお茶」という広告を見ました。効果はあるのでしょうか?
A. お茶には脂肪吸収を抑制するカテキンが含まれていてコレステロールを低下させるといわれています。販売会社から提示されている資料によると、66人をカテキンを含むお茶を飲用した人と飲まなかった人とに分けて内臓脂肪面積を調査したところ、カテキンを含むお茶を飲んだ人では脂肪面積は9%減少して、3カ月続いたということです。
また、別の実験で、飲用した群と飲用しなかった群に分け、LDLコレステロールを測定すると、飲用群では2カ月後に10%低下し、3カ月後もなお低下していたという資料もあります。少ない人数で短い期間にみられた効果ですが、よい影響はあるようだといってよいのでしょう。
A. LDLはlow density lipoprotein(低比重リポタンパク)の略であり、HDLはhigh density lipoprotein(高比重リポタンパク)の略です。血液中のLDLが増えすぎると、動脈硬化が促進されますが、HDLは組織に蓄積した余分なコレステロールを引き出して肝臓に運搬します。HDLが高ければ動脈硬化の進行が抑制されるので、善玉コレステロールといわれています。
男性 50代
Q.運動をして5キロオーバーだった体重が平均体重に戻りましたが、LDLコレステロール値が180mg/dLから変化しません。薬を飲まなければいけないでしょうか。
A. LDLコレステロールの管理目標は、ほかに危険因子がなければ160mg/dL未満に維持することです。5kgの体重減少ができ、標準体重にすることができたというのであれば、そのうちこの数値に落着いていくのではないか、と思います。LDLコレステロール以外に動脈硬化のリスクがなければ、運動や食事療法を続けてみてはいかがでしょうか。
LDLコレステロールが高い値になったまま、どうしても下がらないという場合はあり得ます。遺伝的素因があったり、甲状腺など、身体に病気がある場合などです。また、LDLコレステロール以外に動脈硬化のリスクがある方は、数値の目標を160mg/dLからさらに下げなくてはなりません。このような場合には、薬を用います。ただし、原因をよく調べたうえで服薬することをおすすめします。
男性 40代
Q.コレステロール値は下げないほうが病気にならないと聞いたのですが、それは本当ですか?
A. コレステロールは多すぎると弊害がありますが、本来は生体機能を維持する上に必要な物質です。
横軸にコレステロール値をとり、縦軸に生命の危険度をとってグラフを描くとコレステロールが低いほど、危険度は少なくなりますが、極端にコレステロールが低くなると、かえって危険度が増加します。
これは危険度の高い人では栄養状態が悪いためにコレステロールが低くなっているということのためかも知れないのですが、コレステロールを極端に下げすぎないほうが望ましい、といわれるのはこのような観察があったためでもあります。何事にも「行きすぎはいけない」ということなのかも知れませんが、動脈硬化予防のためには、コレステロールは低いほうがよいというのが、現在、世界の確立した考え方です。