薬・サプリ

過去の質問と回答

New 抗血小板薬をのみ続けると血管がもろくなる?  
男性 30代
Q. 26歳の時に狭心症になり、抗血小板薬を服用せざるをえなくなりました。20代のうちから血液をサラサラにする薬をのみ続けて大丈夫でしょうか。脳出血が心配です。血液をサラサラにする薬をのむと血管自体がもろくなるのでしょうか。家族性高コレステロール血症の薬も服用しています。

A. 狭心症を伴った家族性高コレステロール血症(ほぼ確実と思われる)ですので、徹底的な治療が必要だと思います。LDLコレステロールは70mg/dL未満にする必要があると思いますので、主治医の先生とよく相談しながら治療を続けてください。最近は注射薬による治療もできます。お尋ねの血液をさらさらにする薬についてですが、決して服用を中止しないでください。脳出血などの副作用が発現するリスクはそれほど高くありません。また、血液をさらさらにする作用のあるアスピリンによって血管がもろくなって脳出血となるのではなく、血液が固まりにくくなるので、脳出血時に出血が多くなる可能性があるということです。

New 薬(スタチン)はのまなくてはいけませんか?  
女性 40代
Q. 先日の血液検査でLDLコレステロールが180mg/dLと高かったため、薬(スタチン)をのむようにすすめられましたが、のみたくありません。HDLコレステロールや中性脂肪、血糖値は基準値内でした。それでも薬はのまなくてはいけませんでしょうか。

A. 40代の女性でLDLコレステロールが180mg/dLということは、家族性高コレステロール血症が疑われます。もし、家族性高コレステロール血症と診断されれば、LDLコレステロールを下げるために薬(スタチン)を使用すべきだと思います。家族性高コレステロール血症の場合は、小さい時からコレステロールが高いことが知られており、長い間の変化として、血管に動脈硬化性の病変が起こっている可能性があります。まずは、家族性高コレステロール血症か否かの診断をしてもらってください。

コレコレステロールを下げる薬(スタチン)をやめる目安は? 
男性 50代
Q. 6カ月前からピタバスタチン1mgを1日1回服用し、190前後あったLDLコレステロールが基準値内に収まるようになりました。薬をやめてもいいでしょうか。薬をやめる目安を教えてください。

A. LDLコレステロールの目標値はその方が持っている危険因子により異なってきます。例えば、すでに狭心症や心筋梗塞にかかったことがある方は100mg/dL未満に、糖尿病がある方は120mg/dL未満にするなどとなっておりますので、ご自身の危険因子に沿った目標値に達している(薬によるコントロールができている)場合は、継続服用が必要です。薬剤の効果は、食事内容に依存します。飽和脂肪の多い動物性脂肪の多い食事を摂取すると薬剤の効果は減弱する可能性がありますので、ご注意ください。服薬の中止基準は、中止してもLDLコレステロールが上昇しないこと(つまり生活習慣の改善が見られた場合)を確認すればいつでも中止可能です。

コレステロールを下げる薬で、スタチンとエゼチミブの違いは?  
女性 70代
Q. γG T PとLDLコレステロールが高くスタチン系の薬のピタバスタチンC aを飲んでいますが、エゼチミブのほうがいいと聞きました。どんな違いがあるのでしょうか? 変えた方がいいでしょうか?

A. スタチンとエゼチミブは、その作用メカニズムが違います。スタチンはコレステロールの合成阻害薬ですが、エゼチミブは腸からのコレステロールの吸収を抑える薬です。一般的にはスタチンのほうがエゼチミブより効果が高いことが知られています。また、ちまたでは「コレステロールの薬を飲まないほうがよい」というような話がありますが、それは、個人の状況にもよります。他の動脈硬化の危険因子(高血圧・糖尿病・喫煙など)があるかどうかも問題となりますので、よく医師と相談のうえ、スタチンをやめるか否か決めるべきだと思います。

産後にLDLコレステロールが急上昇。薬物治療が必要ですか?  
女性 30代
Q. 産後6週で血液検査を受けたところ、総コレステロールもLDLコレステロールも高く、薬物治療が必要との診断が出ました。これは産後の一時的なものでしょうか?すぐ薬を飲まなければいけませんか?

A. 妊娠に伴う脂質異常症として、中性脂肪(トリグリセライド)が高くなる「高中性脂肪血症」がまれに認められることはありますが(0.1%以下)、出産後の脂質異常症はあまり多くはありません。ただ、出産直後はさまざまなホルモンのバランスが変化しますので、3カ月後くらいにもう一度検査を受けてみてください。
それでもLDLコレステロールが高い場合には、「家族性高コレステロール血症」が疑われます。今後も出産を望まれるのであれば、担当医に相談のうえ、薬物治療の時期などを検討すべきです。また、出産を望まれない場合は、できるだけ早めに薬物療法を始める必要があります。

コレステロールを下げすぎると血管がもろくなる?  
男性 50代
Q. LDLコレステロール値を低下させるために、スタチン系の薬を服用した場合、低コレステロール(栄養不足)によって血管がもろくなり、出血しやすくなる可能性はありますか?

A. 一般的にもともとコレステロールが低い人に脳出血が多いというデータは東西を問わずありますが、コレステロールが高い人のコレステロールを低下させたために血管がもろくなったという事実は報告されていません。下げすぎが心配な場合は、LDLコレステロールをどこまで下げるか、目標値を主治医とよく相談してください。

筋肉痛の副作用が少ない薬はありますか?  
女性 60代
Q. LDLコレステロールが180㎎/dL前後あり、薬を飲んでいましたが、両ふくらはぎが痛くなり、薬の服用をやめてしまいました。やはり薬を飲んだほうがよいでしょうか?また、筋肉痛の少ない薬はありますか?

A. LDLコレステロールはかなり高いので、スタチンという種類の薬を服用することをおすすめします。スタチン系の薬は何種類かあり、ピタバスタチンやプラバスタチンという薬は筋肉痛の副作用が少ないといわれていますので、主治医とよく相談されてください。

LDLコレステロール162㎎/dLだと服薬は必要?  
女性 70代
Q. 健康診断でLDLコレステロール162mg/dL、HDLコレステロール85mg/dLでした。食事に気をつけ運動もしていますがLDLコレステロールに変化がありません。服薬をすすめる医師と、もう少し数値が上がってからでよいという医師がおられ、どうすべきか悩んでいます。

A. 原則として、LDLコレステロールは160mg/dL未満にすることが望ましいと思いますが、HDLコレステロールが高めで、他の危険因子(高血圧や糖尿病など)もないようですので、必ずしも服薬が必要とはいえません。 できれば、頸動脈エコーの検査を受けて、動脈硬化が進んでいるか確認したほうがよいと思います。異常があれば、すぐに服薬を考慮すべきです。

足の痛みはコレステロールを下げる薬の副作用?  
女性 60代
Q. 3年前からコレステロールを下げる薬を飲んでいますが、最近、足がピリピリします。薬の副作用でしょうか?

A. コレステロールを下げる薬のなかで、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)と呼ばれる薬には、副作用の一つに「横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)」という重篤なものがあります。これは、筋肉がとけて壊れ、筋肉の中のタンパクが血中に出てくるため腎不全が起こる大変厄介な副作用です。ただし、起こる頻度はきわめてまれで、スタチンを飲んでいる人の0.02%程度といわれ、私自身、この副作用が起こった人を診た経験はまだありません。 しかし、筋肉が痛くなったり、筋力が落ちるといった状態になる方は、比較的多くいらっしゃいます。質問者様の場合、こちらの可能性もありますが、ピリピリするという表現はあまりされないようです。 心配な場合は、1~2週間お薬を飲むのをやめて、症状が改善するかどうか見てみるのもよいかもしれません。いずれにしても、主治医に相談されるのがよいと思います。

薬は一生飲み続けなければならないの?  
男性 50代
Q. LDLコレステロールが高いといわれ、薬を服用するようにいわれました。脂質異常症の薬は、一生飲み続けなくてはいけないのでしょうか?

A. 脂質異常症の薬物療法は、コレステロールや中性脂肪を下げ、血中の脂質を正常なバランスに保つために行うものです。高血圧の薬もそうですが、薬を服用して数値が正常になったからといって、薬をやめれば、数値は再び悪化してしまうため、長期的に薬を飲まなければならない人がほとんどです。一方で、生活習慣の見直しをきちんと行い、心血管疾患のリスクが健康な人と変わらないレベルになったと判断されれば、薬を中止したり、量を減らしたりすることができるケースもあります。大切なのは、薬を飲み始めたからといって薬だけに頼るのではなく、食事療法や運動療法を並行して続けることです。

血液サラサラの薬と内出血の関係は?  
男性 70代
Q. 少しぶつかっただけでも、血管が切れて、内出血します。血液サラサラの薬を飲んでいるせいでしょうか?

A. 年をとると、皮下の脂肪組織が少なくなり、皮膚の直下に血管が走るようになって、わずかな打ち身でも皮下出血を起こすようになります。血液サラサラの薬を服用している方は、出血がいっそう起こりやすくなりますので、家具などにぶつけないよう注意してください。

サプリメントでコレステロールは下げられる?  
男性 50代
Q. 20代の息子のコレステロール値が230mg/dLを超えたというので、サプリなどを勧めようかと思っています。科学的に効果が証明されている成分などはあるのでしょうか?

A. サプリに関するご質問ですが、わが国では健康食品として取り扱われています。健康食品にはいくつかのカテゴリーがあり、根拠のはっきりしているものが特定保健用食品(トクホ)というもので、生産者自身がその食品を用いた臨床試験を行い、論文として発表して消費者庁に提出し、専門家の審査を受けて、その根拠が認められたものが内閣総理大臣の認可食品として売り出されています。平成27(2015)年からはじまった機能性表示食品という食品は、そのもの自身の臨床試験は行っていませんが、その成分自体についてはすでに多くの研究がなされていて、それらの研究をまとめて、生産者自身が消費者庁に届け出ることにより、販売できるものです。国の認可ではなく、届け出制という点がトクホとの違いです。これ以外のものはいわゆるサプリとして生産者自身の責任において販売しており、国は関係しておりません。
これらが、患者さんのコレステロールを下げるかどうかは、トクホについてはその可能性は高いと思いますが、これで効果があるのであれば、食生活の改善がきわめてよい方法であり、安価な方法ということができます。

生活習慣を改善すれば薬は飲まなくていい? 
男性 40代
Q. 総コレステロール値が252mg/dLあり、「下がらないようなら薬の服用を」と脅されました。薬には何となく抵抗があります。減量や生活習慣の改善で値を下げるのではいけませんか?

A. 生活習慣で改善することがベストです。ただし、もし糖尿病や慢性腎臓病などが合併している場合は別で、服薬する必要があるかもしれません。また、コレステロールが252mg/dLといってもLDLコレステロールの値やHDLコレステロールの値により、考え方が異なります。よしんばお薬を使う場合でも、食生活の改善は基本となりますので、まずは食生活・運動習慣の改善を心がけてください。

血液をサラサラにする薬はありますか?  
男性 30代
Q. 血液サラサラになる薬ってどんな薬ですか? 副作用は大丈夫でしょうか?

A. 動脈硬化の促進にかかわる因子に血小板機能があります。この機能を抑制する血小板凝集抑制薬が血液をサラサラにする薬といわれています。アスピリン、チクロピジン、クロピドグレル、シロスタゾールなどといった薬です。副作用は出血しやすくなることです。脳出血を起こしたり、消化性潰瘍をつくったりしやすいので注意が必要です。

動脈硬化におすすめのサプリメントは?  
女性 40代
Q. 動脈硬化によいサプリメントなどはあるのでしょうか? 女性では閉経後から動脈硬化が進展しやすいと聞きます。

A. 女性では閉経以後には動脈硬化が進行しやすくなります。この時期には特に予防のための注意が必要です。
サプリメントといわれるものには多様なものが販売されています。その中には、「血圧が高めの人に」とか「コレステロールが気になる人のために」、などといっているものもあります。しかし、多数の人々について、サプリメントを摂取した人の集団と摂取しなかった人の集団を設けて、長い期間、服用を続けたうえで、両群での効果を統計学的に比較して確かめたという研究はまだありません。つまり、学問的に効果が確実にあるといえる動脈硬化予防のためのサプリメントはまだ、ないといってよいように思います。

動脈硬化を治療する薬はありますか? 
男性 30代
Q. 動脈硬化の治療薬はありますか?どこで処方してもらえばよいですか?父が心臓病で亡くなったので予防したいと思っています。

A. 動脈硬化は血管壁の線維成分が増加して、硬くなり、内膜面に粥腫(じゅくしゅ)が形成されて内腔が狭くなって、内臓臓器の血流障害を生じてくる状態です。
これを治療するためには、動脈硬化を起こりやすくする要因を除いていくことが必要です。そのような要因としては、年齢、性差などというような、動かすことができない因子のほかに、手を加えることができる高血圧、高脂血症、糖尿病などといった因子があります。これらの要因を治療することにより、動脈硬化は進行しにくくなるばかりか、場合によっては粥腫が小さくなって改善することも知られています。このような効果を動脈硬化の退縮といいます。
これらの治療薬はそれぞれの所見に見合って処方されたものでなければなりません。所見が対応していない状態で薬を使用するととんでもない副作用がみられることがあります。適正に薬を使用するためには、まずは、かかりつけ医にご相談ください。