過去の質問と回答
女性 50代
Q. 人間ドックでコレステロール値が高いといわれ、近所の内科で再検査しました。総コレステロール265mmHg、LDLコレステロール170mmHg、中性脂肪170mmHgといずれも高く、スタチンという薬を処方されましたが、薬は飲み続けなければいけませんか?
A. 年齢的に判断して、閉経後の高コレステロール血症ではないかと思います。数値がかなり高いので、スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)を飲むことには問題ありません。薬を飲むことに不安がある場合は、実際に血管がどのような状態になっているかを頸動脈エコーという検査で調べてみるとよいでしょう。異常があれば、ぜひ薬で治療をしてください。また、異常がなくても、LDLコレステロールがこれくらい高ければ、薬を飲んでいたほうが動脈硬化の予防のためにはよいので、服用を続けていただければと思います。スタチンの副作用は肝臓や腎臓などの障害が0.01%くらい、筋肉の障害は0.001%くらいですので、ほとんど気にしなくてよいでしょう。
女性 30代
Q. 産後6週で血液検査を受けたところ、総コレステロールもLDLコレステロールも高く、薬物治療が必要との診断が出ました。これは産後の一時的なものでしょうか?すぐ薬を飲まなければいけませんか?
A. 妊娠に伴う脂質異常症として、中性脂肪(トリグリセライド)が高くなる「高中性脂肪血症」がまれに認められることはありますが(0.1%以下)、出産後の脂質異常症はあまり多くはありません。ただ、出産直後はさまざまなホルモンのバランスが変化しますので、3カ月後くらいにもう一度検査を受けてみてください。
それでもLDLコレステロールが高い場合には、「家族性高コレステロール血症」が疑われます。今後も出産を望まれるのであれば、担当医に相談のうえ、薬物治療の時期などを検討すべきです。また、出産を望まれない場合は、できるだけ早めに薬物療法を始める必要があります。
女性 50代
Q. 40代後半からコレステロール値が急に高くなりました。脂質異常症の薬を服用していますが、食事、運動では、どんなことに気をつけたらよいでしょうか?
A. おそらく更年期による高コレステロール血症ではないかと思われます。女性は、50歳ごろから女性ホルモン(エストロゲン)が低下し始めるため、コレステロール値が上昇しやすくなります。 薬を飲んでいても、食事療法、運動療法をあわせて行っていただくことが重要です。食事では、動物性脂肪(牛肉、豚肉、ひき肉など)を控え、できれば、魚や大豆などでたんぱく質を摂取するようにするとよいでしょう。また、食物繊維(海藻類や根菜類、緑黄色野菜など)をできるだけとるように心がけてください。 更年期は、骨粗しょう症の可能性も出てきます。運動療法(有酸素運動)は、善玉コレステロールといわれるHDLコレステロールを上昇させる効果があるほか、骨粗しょう症の予防にもおすすめです。
女性 30代
Q. 現在、妊娠中ですが、血液検査の結果、総コレステロールも中性脂肪も妊娠前の倍近くあり、驚いています。一時的なものでしょうか? 産後は元に戻りますか?
A. 妊娠すると、血液中の脂質の値が高くなるのは一般的なことで、総コレステロールも中性脂肪も倍くらいの範囲の増加であれば、とくに問題はありません。出産して授乳が終わるころには、高コレステロール状態も改善しているはずですので、出産後にもう一度血液検査を行って、低下していることを確認してみてください。
女性 40代
Q. 5年ほど前からLDLコレステロール値が160から180と増えていき、今年とうとう200を超えてしまいました。治療の必要はありますか?
A. 閉経に近づいてくると、女性ホルモンが少しずつ減ってきて、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)は上昇することが多いことが確認されています。LDコレステロールが上昇すると、動脈硬化(狭心症や心筋梗塞など)の発症頻度が高まることも、すでに確認されていることです。
しかし、LDLコレステロールは、高くなっても、糖尿病などの合併症がない限り、ある一定の期間を経過しなければ、動脈硬化まで発展しないことも明らかになっています。したがって、ご質問の方も60歳ころまではお薬などの積極的な治療の対象にはならないと思います。 ただし、LDLコレステロールは低く保っていたほうがいいのは当然ですので、飽和脂肪酸(動物性脂肪)やコレステロールの多い食品(卵類)の摂取は控えるようにしてください。
また、動脈硬化予防のためにはお魚や大豆製品の摂取が有効であるといわれていますので、積極的に摂取されることをおすすめします。運動ではLDLコレステロールは低下しませんが、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)は上昇することが期待され、動脈硬化予防にはきわめて有効であることがわかっています。今は、できるだけ動脈硬化予防にいいことを継続してください。
女性 40代
Q.もともと高血圧で薬を飲んでいるのですが、妊娠中も続けてよいのでしょうか?
A. 妊娠中に服薬すると、胎児に影響がでる可能性があり、いくつかの種類の降圧薬は使用が禁じられています。妊娠中には服薬が禁忌とされているのは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)であり、慎重さが求められているのは利尿薬系統の降圧薬です。妊娠中には極力、服薬を控えるのが安全であり、どうしても必要な場合にだけ、服薬するようにするのが望ましいでしょう。