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日本医科大学 名誉教授 複十字病院糖尿病・生活習慣病センター センター長 及川 眞一 先生

動脈硬化とはどんな病気?

日本医科大学 名誉教授
複十字病院糖尿病・生活習慣病センター センター長
及川 眞一 先生

2015年7月9日・10日の2日間、宮城県仙台市で「第47回日本動脈硬化学会総会・学術集会」が開催されました。

今回は、日本医科大学 名誉教授の及川眞一先生の「動脈硬化とはどんな病気?」をご紹介します。

血管は老化して硬くなる。コレステロールも動脈硬化の原因に

動脈硬化って何ですか?

動脈硬化というくらいですから、血管が硬くなることを言いますが、硬さがわかる方法はいくつかあります。

たとえば、医師が脈をとりながら血管を触る方法です。
年をとった硬い血管は、血液の流れが悪くなります。

若く健康な血管は弾力性があり、ポンプのように作用します。
心臓から送り出された血液を、頭などさらに高い位置へ送るのですから、大変なエネルギーを使っていることになります。

年をとると、血管はどうしても硬くなりますし、その他、糖尿病なども動脈硬化の原因になります(動脈硬化の危険因子は後に詳述)。

硬さを数字で表す検査機器も診断に利用されています。
硬い木の机を軽く叩くと「コン」という音が伝わりますが、同じようにふとんを叩いても、あまり音はしません。

同じような原理を利用して、血管の硬さを数値化します。
ちなみに、たくさんの人を調べてみると、女性のほうが動脈硬化になりづらいことがわかりました。
「血管年齢(血管の老化度、動脈硬化の進行度)」でいうと、女性のほうが10年くらい若いのですね。

動脈硬化には、血管にコレステロールがたまり、お粥のような塊ができるパターンもあります(血管の壁が分厚くなり弾力を失う)。
コレステロールがたまっている度合いは、超音波エコー検査で頸動脈(首のところにある太い血管)の状態を見て、「推測」することができますが、数値化は難しいのが現状です。

動脈硬化は脳や心臓の重い病気につながる

私は元気ですから動脈硬化はありませんよね?

年をとれば血管は硬くなるので、動脈硬化はたとえば私の身体でも起こっています。
しかし、重い病気にもならず、こうして元気でお話ししています。

どうして、動脈硬化がそんなに問題になるのでしょうか?
コレステロールが原因の動脈硬化がわかりやすいので、病気になるプロセスを紹介します。

  • 血管の壁にコレステロールがたまる
  • コブのような塊ができる
  • 塊が何かの刺激で破れて出血する
  • 血管の中で血が固まる
  • 血管が詰まって血流が止まる

という流れで、脳や心臓に症状が現れます。

出血で血管が完全に詰まらなくても、少し血管が狭くなるだけで、大変苦しい症状が出ることもあります。

脳では、血管が破裂して起きる脳出血や、血管が詰まる脳梗塞が起こります。脳血管性の認知症もあります。

心臓では冠動脈が狭くなり胸が苦しくなる狭心症、さらに進行すると心筋梗塞になります。

脳や心臓だけでなく、足の動脈が詰まって血液が足の先に行かなくなり、足が壊疽して、切断せざるをえないということも起こります。
さまざまな疾患を起こす元が動脈硬化なのです。

食事は量を減らすのが第一歩。ちょっときつい運動を1日20分×週3回以上

男女別 虚血性心疾患の発症頻度の違い

動脈硬化の危険因子はたくさんあります。
たとえば、先ほど「女性のほうが血管が10年若い」とお話しましたが、「男性である」だけで危険因子になります。
ほかにも、年齢、体重が多い、糖尿病、高血圧、高脂血症、喫煙などがあり、複数の因子を一人の人が持っています。

予防は生活習慣の改善です。
年齢や性別の危険因子は消せないので、変えられるものを改善しましょう。

日常生活全般に注意が必要ですが、主に食事と運動の改善が大事です。

食事について

動脈硬化予防によい食材、悪い食材など、さまざまなことが言われていますが、一番影響が大きいのは食べる量です。
量を少し減らすだけで、身体は相当変わって来ます。

その次に栄養バランスを考えましょう。
天ぷらを食べた次の日は、油もの避けるなど、神経質になりすぎず配慮してください。
日本食は、とてもよいですが、塩分の摂りすぎには気をつけてください。

低炭水化物食は、短期間で体重を減らすには有効ですが、長期的に見れば動脈硬化を予防するよい方法ではありません。
また、朝昼抜きで夕飯をどか食いするのは、よくありません。
同じカロリーでも糖の吸収、血糖の上がり方が違うので、三食まんべんなく食べてください。

運動について

習慣的に運動する人のほうが、心臓病やがんによる死亡率の低いことが証明されています。運動によって、身体の免疫力が上がるのです。
息をしながらできる有酸素運動が効果的です。短距離走のように、息を止める無酸素運動ではなく、ゆっくり長距離を走ったほうがよいのです。

ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を1日20分×週3回以上が目安です。20分は、5分ずつ4回に分けるなど、少しずつでもかまいません。

3~6カ月続ければ、身体が変わったと実感が得られるはずです。血圧、中性脂肪などの数値にも表れます。
あまり激しい運動は身体に負担をかけるので、心拍数が適切な強度の目安になると言われています。

1分間の拍動=138回-年齢×1/2

になるくらいの運動が推奨されています。

たとえば私は67歳なので、1/2をかけた33を138から引きます。
1分の心拍数が105回くらいになる運動がちょうどよいというわけです。

ただし、個人的には、心拍数が速くなりがちな高齢者や糖尿病の方に、この目安はおすすめしません。
ちょっときついと感じられる運動、ウォーキングなら隣の人と話ができるくらいの運動だと思えば、ちょうどよいでしょう。

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