人間の消化酵素では消化されずに小腸を通過して大腸まで達する、食品成分の総称です。定義からも明らかなように、栄養素ではありません。従来は、消化されず役に立たないものとされてきましたが、便秘の予防をはじめとする整腸作用、血糖値上昇の抑制、 血液中のコレステロールの低下など、さまざまな有用性が明らかとなっています。しかし、現在、ほとんどの日本人は不足気味といわれ、厚生労働省は、日本人の食事摂取基準として食物繊維の目標量を成人(18~64歳)の場合、男性では1日21g以上に、女性では1日18g以上に設定し、積極的に摂取することを推奨しています。
果物や海藻類、こんにゃくいも※などに多く含まれている水溶性食物繊維(難消化性デキストリン)は、食後の血糖値の急激な上昇の抑制、コレステロールの吸収抑制作用などが報告されています。また、野菜や穀類、豆類等に含まれている不溶性食物繊維は、大腸の蠕動(ぜんどう)運動を促し、便秘を改善することが知られています。
※こんにゃくいもから作られる板こんにゃくやしらたきは製造過程で添加される水酸化カルシウムによって不溶性食物繊維に変化しています。
<代表的な食物繊維>
【水溶性食物繊維】
・りんごやかんきつ類などに含まれるペクチン
・わかめやもずくなどに含まれるアルギン酸
・こんにゃくいも(板こんにゃく、しらたきなどの加工食品は除く)に含まれるグルコマンナン
・はちみつや果物などに含まれるオリゴ糖
【不溶性食物繊維】
・成熟した野菜などに含まれるセルロース
・カカオなどに含まれるリグニン
・エビ、カニなど甲殻類の殻に含まれるキチン